2019年06月23日

Ots-12 Tiss GBB(GHK AKS74Uベース)

ロシアの試作ライフルOts-12がこの度完成しました。(ベースガン:GHK製AKS74U)
Ots-12 Tiss GBB(GHK AKS74Uベース)
Ots-12 Tiss GBB(GHK AKS74Uベース)
今回カスタム製作を依頼したのはいつものハンマーズ様。
資料が乏しいながらも、非常に高い完成度で細部まで製作して頂けました。

今回依頼したのはOts-12の長銃身モデルです。(AK105相当の全長)
Ots-12 Tiss GBB(GHK AKS74Uベース)

1990年代初頭、ロシア内務省からの依頼でOts-12の開発がスタートしたそうです。
コードネームはティス(Тисс:ロシア語でイチイの木)と呼ばれていました。
イチイは日本やロシアにも分布する針葉樹の植物で赤い果実をつけます。
果実は無害で食用にもされますが、種や葉にはタキシンと呼ばれる毒を持つそうです。

開発担当局はTsKIB SSO(トゥーラ市スポーツ及び狩猟用火器中央設計局)、
AKS-74Uをベースとし消音火器用の弾薬として開発された9㎜×39弾を使用する小火器として製作されました。
このOts-12には2種類のモデルが存在します。
一つはバレルがAK105相当のカービンライフルサイズのモデル、
もう一つはベースとなったAKS74Uとほぼ同形状のモデルが製作されています。
便宜上ここで前者を初期型、後者を後期型と呼ぶことにします。
初期型という呼称は資料を探す中で"early model"と呼称する海外ページがありましたのでそれに倣いました。
(実際には初期型ではなく、性能テスト用に製作されたものの可能性もあります。)
この初期型、確認できる資料は筆者が探したところ数えるほどしかなく、細部が不鮮明なものばかりです。

この初期型を再現するにあたり、以下のパーツが必要でした。

①放熱孔なしの後期型木製ハンドガード
Ots-12 Tiss GBB(GHK AKS74Uベース)

②イズマッシュ製AKモダングリップ
Ots-12 Tiss GBB(GHK AKS74Uベース)

③PP-19ビゾンタイプ?フラッシュハイダー
Ots-12 Tiss GBB(GHK AKS74Uベース)

④ガスチューブ接続部が大型化されたフロントサイトブロック
Ots-12 Tiss GBB(GHK AKS74Uベース)

⑤フロントサイト前部に付属するアタッチメント
Ots-12 Tiss GBB(GHK AKS74Uベース)

ベースとなったAKS-74Uのフロントサイトブロック及びバレル周辺部が大幅に変更されており、まったく別の銃に見えます。
今回再現にあたって①~③はオークション等で入手しました。
③のPP-19bizon用ハイダーですが、手持ちのSBA製のものでは形状が幾分イメージと異なるため、PPS製のものを取り寄せました。
④~⑤はハンマーズ様にて資料を基に再現して頂きました。

フロントサイトブロックの再現はLCT製AKM及び同社AK-74用ガスブロックのニコイチで製作頂きました。
更に大型化されたガスチューブを再現するため、鋼管を溶接し追加加工をして頂いています。

恐らく今回もっとも手間が掛かったと思われる⑤のパーツ、これは一体なんなのか?
再現にあたってこれがもっとも難解な部分でした。
資料も少なくまた何のためにあるのか、どのように装着されているのかも不明です。
製作が進むにつれ、ハンマーズ様はこれをサプレッサーアダプターに類するものでは、と推測されました。
当初AKM用のマズルアタッチメントを改造したものでどうかと提案させて頂きましたが、最終的にワンオフの特注パーツになりました。
複雑な形状をしており、再現にあたって大きなポイントとなっています。
消音ライフル専用に開発された9㎜×39弾を使用するこのモデルなら、恐らくサプレッサーは必須でしょう。
専用のものが計画されていたのであれば、一体どのようなものだったのか……色々と想像が膨らみますね。

評価試験共に問題なく進んでいたOts-12ですがその後開発を打ち切られ、ブルパップタイプのOts-14が開発されたそうです。
開発が打ち切られた経緯については不明ですが、歴史の狭間に埋もれていった試作兵器というところに惹かれました。
それ以外にゲーム「ドールズフロントライン」でも登場したことも大きいですね。(かわいい)
Ots-12 Tiss GBB(GHK AKS74Uベース)
これをきっかけに色々とこのモデルに関する情報が他にも出ないものかと感じております。

最後になりましたが、このマニアックな試作銃の再現ご協力頂いたハンマーズ様にこの場をお借りし、
改めてお礼申し上げます。
ありがとうございました。

(2022年5月4日 文言等一部加筆修正)










Posted by 栗 at 21:17│Comments(0)Ots-12
 
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